副業やビジネスの立ち上げで、アパレル商品の取り扱いを新たに始める方も年々増えてきました。
オリジナル商品を作りたいけど、何から始めればよいかわからなかったり、大量生産の場合、縫製工場に対してどう指示していいかわからない方も多くいらっしゃいます。
そんなアパレル初心者の方向けに、アパレル暦15年の私が商品が形になるまでの方法をご紹介したいと思います。
また、今後アパレル関係で働きたい人にも役立つ情報かと思いますので、少しでもお役に立てれば幸いです。
商品化までのスケジュール
まずは簡単に商品が作られるまでの流れを時系列でざっとご紹介します。
- Step.1コンセプトの立案
作成する商品のコンセプト(全体を貫く基本的な観点・考え方)などの方針を決めます。
例えばマタニティ向けの商品や、スポーツ初心者向けの商品など、売りたいターゲットや商品構成などを決めます。
- Step.2デザインの作成
コンセプトに合わせて商品のデザインを書き起こします。
同時に素材の選定を行います。
- Step.3縫製仕様書・指示書の作成
外注先の工場やOEMを請け負っている会社にどんなスペックの商品なのか、商品の設計図を作成して送付します。
※仕様書と指示書は呼び方が違うだけで中身は同じものになります。
- Step.4サンプルチェック
工場で仕様書を参考に1stサンプルが作成されます。
これを参考に寸法や仕様が指示通りに上がっているか確認・検品します。
- Step.5本生産
何度か修正を行った後、指示ズバリの生地や付属で本生産(BULK生産)を行い一気に縫い上げます。
同時に副資材(ケアラベル・下げ札等)の手配をします。
- Step.6納品
検品をした後、海外生産の場合はシッピング(船積み)かエアー(空輸)でデリバリーします。
基本的にはこのような流れに沿って商品が作成され納品される仕組みとなっています。
ここでは、その要であるデザイン画と縫製仕様書について詳しく見ていきましょう。
デザイン画と縫製仕様書の役割
デザイン画とは
デザイン画は一体どんな役割があるでしょうか。
- OEMの場合、依頼先の意図に合った商品となっているか確認する為。
- カラーバリエーションの確認。
- コストの見積もり出しに使用する。
- ライセンス商品の場合、ライセンス先のアプルーバルを確認する為。
一見必要になさそうですが、色々とメリットがあることがわかります。
また、縫製仕様書の絵型として流用できますので作成しておいて無駄にはならないでしょう。
海外の工場ではデザイン画のみでサンプルを作成してくれるところもあります。
一方で、趣味で服作りをする方には不要と言えます。
▼デザイン出しにもしも迷ったら
縫製仕様書とは
次に縫製仕様書の役割を確認しましょう。
- 商品の細かな仕様を詳細に伝えることができる。
- サイズ展開によるサイズピッチを決める。
- 素材や付属などの種類の選定を行う。
- プリントなどの二次加工の指示を行う。
縫製仕様書には商品の仕様を伝える他にも、サイズピッチやプリントや刺繍などの二次加工の指示を行う為に必要になります。
私はイラストレーター を使用して作成していますが、決まったフォーマットや書式などはありませんので指示しやすい方法でOKです。
どのような商品かがわかれば問題ありませんので、手書きやExcelなど自分の使いやすいフォーマットで先ずは作成しましょう。
フォーマットはカットソー用とアウター用の2種類を用意しておくと便利です。
違いとしてはサイズ指示の身巾、裾巾、ウエスト巾などがカットソーの場合、半身の指示になるので注意しよう!
付属などの名称がわからない場合は、写真などを一緒に貼り付ける事でわかりやすくなります。
また、色の指示はPANTONEが主流ですが、無い場合は手元にある色見本を送付する事で指示する事ができます。
アウターなどの重衣料は仕様が複雑な為、複数枚の仕様書を作成します。
プリントや刺繍などの二次加工がある場合は、こちらも追加作成しましょう。
基本原寸(100%)指示で行うことが望ましいですが、サイズが小さかったり、大きすぎる場合はサイズを調整した上で縮尺の%を明記して指示しましょう。
また、位置の指定も忘れずに明記しましょう。
最後に縫製仕様書+デザイン画+素材見本・色見本を合わせて先方に送付します。
素材見本や色見本などの現物の送付がない場合はメールベースでデータを送ればOKです。
サンプルチェックと注意点
生産背景にもよりますが、生地がある場合は半月くらいで1stサンプルが送られてきます。
生地を新規で作成したり、染めたりする場合は約3ヶ月くらいの時間がかかります。
その場合の1stサンプルは生地が代用で上がってくる事が多いので、プロトサンプル(形だけの確認サンプル)が上がってきます。
サンプルチェックをする上で下記のポイントをチェックしていきましょう!
- 傷や汚れ、付属の間違いなどがないか外観をチェック。
- 採寸して指示の寸法と合っているかをチェック。
- 首回りや袖まわりにリブがついている場合は、脱着する時にしっかり伸びて着やすいかをチェック。
- 二次加工がある場合はサイズ、色、外観が指示通りに上がっているかチェック。
もし指示と違っていたり、変更したい場合には縫製仕様書を修正したものを再送して、2ndサンプルを作成してもらいましょう。
修正が最終OKになれば、“もうこれ以上変更しませんよ”という意味の最終縫製仕様書を発行します。
縫製仕様書の一部に【本生産仕様書】とわかるサインを入れておくとお互いに間違いがなく、わかりやすいでしょう。
仮にデザイン画や参考サンプルだけを工場に送って作成してもらった場合に、意図としていない仕様や色、サイズなどで上がってきてしまう場合があります。その場合、縫製仕様書が無い為に修正箇所がうまく伝えられなかったり、証拠がないので後々トラブルの原因となる事が多いので注意しましょう。
外注の見つけ方
詳しい仕様や指示がよくわからないという方には外注サービスもあるので、デザインは自分でイメージを伝えて、あとはプロに形にしてもらう方法もあります。
私も在籍するココナラではアパレル関係に特化したお仕事も外注する事ができます。
登録や在籍するクリエーターを見つけることは無料なので、覗いてみてはいかがでしょうか。
皆さんと一緒に少しでもアパレル業界を盛り上げていければ嬉しいです。